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スタートアップが面白そうだと思っていたこと、それに加えて、インターナショナルな仕事があり、留学での経験も活かせそうだと思ったからです。もちろん勉強もするのですが、日本に比べてさまざまな国から来た人たちと交流し、話せる機会が多かったですね。授業だけでなく、シリコンバレーで活躍する起業家やVC、スタートアップの内部で働く法律家が行うセミナーや講演にも参加していました。日本とアメリカのリーガルを見つつ、ファイナンス関連も担当しています。特にアメリカの子会社にはリーガル担当者がいないので、メンバーとはもちろん、現地のローファームともやりとりしています。うまく言えませんが…(笑)。人生の中で大きな時間、要素を占めているものであり、自分の中ですごく大事なものであることは間違いないですね。大変なことも辛いこともありますが、仕事が充実していると楽しい。常にそうありたいなと思っています。たとえば留学先のロースクールで出会った友だちには、弁護士とは違う「2番目の顔」を持っている人が多かった。フィリピン人の友だちは、弁護士でありながら、エナジー関連のスタートアップを立ち上げるための勉強をしていました。弁護士だけど音楽系スタートアップをやっている人もいましたね。ファイナンスは、今までのリーガルのキャリアとは異なる経験でした。でも、実際にやってみると、隣接する領域でもあるなと感じました。たとえば私の場合、契約書作成・交渉やデューデリ対応ではリーガルでのスキルを活かしつつ、一方で、ファイナンスの分野としては新たに学んだ部分もたくさんあったんです。…と、ここまで聞くと弁護士エリートしての道を突き進んできた印象を受けるが、その後、2015年に選択したのは「メルカリにてリーガルやファイナンスを担当する」という道だった。― 「仕事をするのが好き」とのことですが、岡本さんにとって仕事とは何でしょうか?弁護士=ローファームに勤める以外のキャリアもあるんだと感じたんです。― とくに印象に残っているエピソードはありますか?カルチャーショックを受けたこととか…。― 日本では「弁護士なのにスタートアップへ行くの?」と感じる人も多い気がしています。留学時代の友だちは、失敗をリスクと思わない考え方を持っていました。むしろ、失敗は経験だと考えていましたし、起業するなど新しいことをしないと何も得られないと思っています。だからみんな、リスクを避けて大企業へ入ろうとしないんですね。「手に職があるといいな」とか、三段論法のようなロジックがある法律の思考方法や勉強方法が自分に合っていたことがきっかけだったりします。あと、ちょうどテレビなどでも企業を支える弁護士が取り上げられるようになった影響もあったり(笑)。なので、仕事に対して「自分にとってのミッションとは」と考えたことがあまりなかったんですね。― ありがとうございました。新たなキャリアへ踏み出すのは、いつだって勇気と覚悟が必要です。でも「自分は何をしたいのか」を軸に考えてみると、高く感じていたハードルも超えられるのかもしれません。そうですよね。留学先の友だちやスタートアップの人たちと触れ合う中、改めて「社外アドバイザーではなく、事業の中からサポートできる存在になりたい!」と思いました。自分のリーガルスキル以外の部分をどんどん広げたいし、ビジネスの当事者になりたい思いが強まりました。海外では「弁護士」はあくまでも資格であり、それだけやっていればいい雰囲気ではないんですね。1つの武器にすぎない考え方でした。この資金調達では「なぜ調達するのか」から投資家へのプレゼンまで、CFOとともにゼロから関わることができました。プレゼンのため、社内のいろんな部署でヒアリングもしたのですが、このプロセスを通じて、以前より会社への理解が深まりましたし、ますます好きになりました。― 岡本さんがメルカリへジョインするまでのキャリアについて詳しく教えていただけますか?新型コロナウイルスの影響によって進むリモートワーク。とくにテック企業でいち早く導入され、日々アップデートされている。リモートワークが当たり前となるなかで、いかに働き方を変え、さらに組織として戦っていくか。各社の取り組み、工夫、リモートワークのやり方などに迫ります。いろんな人の話を聞いて印象的だったのは、みんなミッションドリブンだったことです。本当にやりたい、解決したい課題を事業にしている人が多くて、今までの私の働き方とは全然違うと思いました。転職をするのであれば、今までの経験やスキルを活かしつつ、新しく学んでいける環境を選ぶのがいいと思っています。私にとってメルカリへの転職は、まさに今までのスキルを活かしつつ、新しいことに挑戦できています。資金調達のときは、そのバランスがうまくとれていました。逆に、日本では仕事に対する考え方が硬直化しているように思いました。最近では私も含め、企業内に属するスタイルや、そのほかいろんなキャリアを選ぶ人が増えていますが、やはりまだ弁護士=法律事務所の発想が強いですね。会社の規模が大きすぎると、大企業の法務部にいるのと変わらないですし、スキルも広がらない気がしました。― 「資格はあくまで1つの武器にすぎない」という考えは、面白いですね!たとえばM&Aを担当する場合、クライアントから依頼された買収対象企業を調査し、契約書を作って交渉、そしてクロージングまで担当します。ですが、「なぜこの企業を買うのですか?」といった経緯など、リーガル面以外の経営戦略の部分に深く関わる機会はあまりありませんでした。スタートアップがおもしろそうだと思った理由として、、これからメルカリが成長していくにつれ、いろんなステージに応じてサポートできそうだし、自分のキャリアにおいても貴重な経験になる、と感じたからです。岡本さんは慶応大学在学中に旧司法試験に合格。その後、国内大手法律事務所にて勤務し、スタンフォード大学のロースクールでの留学を経て、現地で弁護士資格を取得した。でも、私は仕事をするのが好きなので、自分が面白いと思って打ち込めることをやりたいんです。メルカリを選んだのも、その考えが中心だったからかもしれません。メルカリには日米の資格を持った若き弁護士、岡本杏莉さんがいる。弁護士→スタートアップというキャリアステップを選んだ理由とは? そこには資格や職種にとらわれない仕事観があった。― 岡本さんは西村あさひの社内制度によってアメリカへ留学し、ニューヨーク州の司法試験にも合格しています。やはり、毎日勉強で大変だったのでしょうか?― リーガルとファイナンスの両方を担当されたんですね。これは、岡本さんのキャリアやスキル面でどのようにプラスだったのでしょうか。リーガルのプロフェッショナルとしての道を突き詰めていくのであれば一流ローファームにいることがベストだと思います。でも、私の場合は、数年間働いてみて、少し物足りなさを感じるようになってきたんです。これは、弁護士の給料がタイムチャージ制で、時間をかけるほど支払額が高くなってしまうということも影響しているかと思います。クライアントは「リーガルのことだけ集中してやってくれればいい」となりますよね。そういった背景もあり、クライアントとの距離を埋められず、いちアドバイザーでしかないことに寂しさを感じていました。― 新たなキャリアステップとして、なぜメルカリを選んだのでしょうか?そもそもスタートアップの社内にリーガルを置く考えを持っているところはすごく少ないです。その点メルカリには、CtoCサービスを進めるため、早い段階から「リーガル体制を整えたい」という考えがありました。訴訟が多いアメリカでビジネスを展開するためにも、社内にリーガル体制はあったほうがいいですし。「弁護士=安定」の印象はまだまだ強いです。実際に法律事務所で働いている弁護士たちもキャリアの観点では"守り”に入っている人も少なくないかもしれません。実は、私が弁護士というキャリアを選んだのは「どうしてもやりたい」があったわけではありませんでした。特に刺激的だったのは、2016年3月のシリーズDでの資金調達を担当したときです。「新型コロナウイルス対策」に動き出すベンチャー・スタートアップ・テック企業を特集。コロナ対策としていま、僕らにできること、取り組み、新たな挑戦についてご紹介します。弁護士として順風満帆なキャリアを歩んでいた岡本さんが、なぜ新天地にメルカリを選んだのか。なぜ、弁護士という職種の枠外へ一歩踏み出し、スタートアップの「中の人」になったのだろうか? 岡本さんに話を伺った。最初のキャリアは、西村あさひ法律事務所でした。すごく規模が大きく、トップファームであるがゆえに、大規模な案件から中小企業、ベンチャーに関係する案件など、弁護士としてさまざまな経験を積める環境でした。在籍している人たちもみんなプロフェッショナルで尊敬できる人たちでしたし、刺激的で面白かったです。時代は平成から令和へ。そして訪れる「2020年以降」の世界。2020年からの「10年」をいかに生きていくか。より具体的に起こすべきアクションのヒントを探る連載企画です。お話を伺うのは、常に時代・社会の変化を捉え、スタートアップと共に"一歩先”を見据えて歩まれてきた投資家のみなさんや、未来を切り拓く有志者のみなさん。それぞれが抱く「これから10年間で現実的に起こり得ること」と「新しい生き方」の思索に― 日本とは職種の捉え方が違うんですね。弁護士であることより「自分であること」を大事にする感覚というか。